羽田酒造

蔵のこだわり

北山の酒

酒造りの源は豊かな自然

京都中心部より北西へ車で約1時間。羽田酒造は、北山杉が整然と空を衝く美しい山間を北上した京北にあります。森林に囲まれた街の中心に桂川上流域の清らかな水が流れています。蔵のすぐ東には上桂川支流の弓削(ゆげ)川が流れ、四季の移ろいを告げてくれます。澄んだ空気、清らかな水、そしてマイナス10度位まで冷え込む冬の厳しい寒さなど、里山の豊かな自然が酒造りの大きな助けになっているのです。

今に伝える酒造の気概

地域の財産でもある木造蔵は、築100年を越えます。蔵の注連縄(しめなわ)、紙四手(かみしで)と杉玉は、伝統の酒造りのかたちを今に伝えています。杉樽や麹室の杉板、自前で作った数々の道具、そして北山の自然。このように造り手の気概が伝わる地産・自産の酒造を心意気にしております。

水の恵み

京北の清流が醸す羽田の酒

周りが森林に囲まれた京北は桂川上流域の清らかな水に恵まれています。その水質は、6月初旬から7月初旬頃になると満天の星空の下でホタルが乱舞するほどの清流なのです。
京都・伏見の水は、鉄とマンガンが少なく、カルシウムや重炭酸が適度に入っている軟水で柔らかいのが特徴ですが、羽田酒造が仕込みに使う上桂川の伏流水は、市内の水より少しミネラルが高めの中硬水(硬度130度)。この水から醸し出される酒は、絶妙な酸の味わいと、きめ細やかで喉ごしの良いキレのある味わいが特徴です。

米のこだわり

こだわりの始まりは祝米づくり

蔵の敷地内には京都が誇る「祝米」の田園が1.5反(約15アール)あります。この田では、蔵人が土作りから収穫にこだわり、丹精込めて米造りを行っています。「祝米」は野条穂の純系より派生した品種。心白が非常に大きく低蛋白質で、酒造適正が高い吟醸酒向きの酒米です。背が高く倒れやすいため、非常に手がかかることから蔵人の「祝米」へのこだわりは徹底しております。地産・自作へのこだわりの精神はここにはじまるのです。

祝米の歴史

昭和8年(1933)に京都府立農事研究場丹後分場(原・京都府丹後研究所)で生まれた「祝米」は良質酒米として伏見の酒蔵で最も多く使用されていました。しかし、戦後の食糧難の時期に一度姿を消し、昭和30年(1955)から再び栽培されるようになりましたが、稲の背丈が120cm~130cmと高いため機械化にそぐわず、昭和48年(1973)を最後に再び姿を消しました。
その後、地産の機運が高まり、平成4年(1992)から再び栽培が開始されました。平成24年(2012)には、「祝米」で造る「京都の酒」とともに、高品質で安全・安心な「祝米(酒米)」「京の酒」が京のブランド産品に仲間入りいたしました。

技の磨き

積み重ね守り続ける。

創業120年余り、京北の地で昔ながらの酒造りを続けています。「昔ながらの手洗いを守る洗米」、「木桶を使う醸造」など、伝統を守り技を磨いてきました。このこだわりの歴史そのものが現在の品質に結集されています。
そして、もうひとつのこだわりは自然の恵みを与えてくれる京北のまちへの恩返し。地域への貢献こそが蔵を守る大切なことです。京北から日本酒のおいしさを知ってもらい、心豊かになってもらう。そこから日本酒が多くの人に愛され、酒造りの技も磨かれます。
近年、その努力の積み重ねが数々の受賞によって証明されております。また、一般社団法人京都府食品産業協会が展開する「京都吟味百撰」に羽田酒造の商品が数多く認定されています。これらは地産にこだわる成果と考え、今後更に「京ブランド」を意識して、商品をご提供してまいります。